第6回水環境制御研究センターシンポジウム
「地下水・土壌汚染の生物学的浄化技術に関する特別講義」

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講演記録

Zinder先生は、嫌気微生物学の第1人者といえる先生で、これまで特にメタン生成菌の研究を多くされている。また近年、還元的脱塩素細菌の分離培養を行われ、クロロエチレン類の土壌・地下水浄化に関しても非常に大きな貢献をされている。今回の講演では、先生らにより世界で初めて分離培養された脱塩素細菌Dehalococcoides ethenogensについて、その分離までに至る経緯と、ゲノム解析について講演頂いた。難培養な細菌をいかにして純粋培養することに成功したか、努力とアイディアについて話され、またゲノム解析により脱塩素酵素をコードする遺伝子の特徴や、脱塩素能の獲得に至った経緯についての考察など、非常に興味深い話を聞くことができた。
Koenigsberg博士は、REGENESIS社の創設者の一人であり、土壌・地下水浄化技術の実用化の第1線で活躍されている。REGENESIS社は、土壌・地下水浄化技術において今現在広く用いられているいくつかの有名な製品を商品として持っている。講演の内容はバイオ技術を用いたものに的を絞り、技術を実用化するために必要な考え方、研究者・開発者・施工者の望ましい関係について示されるとともに、代表的な嫌気バイオスティミュレーション用商品であるHRC(Hydrogen release compound)の紹介、バイオオーグメンテーション用のDehalococcoidesを含む微生物製剤の紹介があった。ともに技術的な資料を交え、長所のみならず短所も含めて説明された。また、バイオレメディエーションにおける微生物モニタリングの具体例と活用法についても説明された。


■期日:2004年9月28日(月)14:00-17:00

■主催:東京大学大学院工学系研究科附属水環境制御研究センター

■会場:東京大学工学部14号館1階141講義室

■問合せ先:sec-recwet @env.t.u-tokyo.ac.jp、Tel 03-5841-7445 (栗栖、青木)
      (@マークは小文字に変えてください)

プログラム

1."Genetics of Reductive Dehalogenating Bacteria, 'Dehalococcoides ethenogens "(Tentative)
「還元的脱塩素細菌デハロコッコイデス・エテノジェネスの遺伝子」
Prof. Stephen H. Zinder(Cornell大学微生物学教授、アメリカ)

2. "A Decade's Journey Through an Environmental Products Company, Substrates, Organisms and Diagnostics"
「環境対応型商品(浄化用物質、微生物、診断薬)開発10年の歩み」
Stephen S. Koenigsberg, Ph.D.(REGENESIS社研究開発副社長、アメリカ)