都市活動や地球温暖化に伴う気候変動等の様々な要因により水循環に変化が生じ、水質汚濁、生態系への影響といった様々な問題を引き起こしている。水道では、水源となるダム・湖沼、河川の藻類や濁度の変動による浄水処理の障害が頻発している。水循環基本法が成立し、基本計画について検討が進められている中、最近の知見を踏まえ水源流域の水質管理のあり方を考える必要がある。東京大学大学院工学系研究科附属水環境制御研究センターと国立保健医療科学院生活環境研究部水管理研究領域の主催で、最近の研究成果を共有する下記のワークショップを開催し、水源流域の水質管理にご関心のある方々と今後の方向性を探っていきたい。
■主催：東京大学大学院工学系研究科附属水環境制御研究センター
国立保健医療科学院生活環境研究部水管理研究領域
■期日：2015年3月10日（火）13:20-17:30
■場所：東京大学工学部14号館１階 141講義室 （東京都文京区本郷7-3-1）
（各講演のスライド（抜粋）がご覧いただけます。なお、他の目的に利用される場合には講演者に許可を得る等、取り扱い に御注意 ください。）
13：20-13：30 開会、趣旨説明‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥水環境制御研究センター長 花木啓祐
13：30-14：10 水源の流域管理について‥‥‥‥‥‥‥‥東京大学 古米弘明
14：10-14：50 水源域の生物障害－最近の状況－‥‥‥‥国立保健医療科学院 秋葉道宏
休憩
15：00-15：30 水道水源の藻類の遷移と水道の対応‥‥‥神戸市水道局 伊藤裕之
15：30-16：00 湖沼水質と藻類産生有機物の動態‥‥‥‥東京大学 春日郁朗
16：00-16：30 水源汚染事故と流域管理‥‥‥国立保健医療科学院・地圏環境テクノロジー 浅見真理
16：30-17：20 全体討議（今後の水源流域の水質管理）
話題提供：千苅貯水池上流水域の水質保全（伊藤氏）
17：20-17：30 閉会
参加者 76名 懇親会参加者 43名
水源となるダム・湖沼、河川の藻類や濁度の変動による浄水処理の障害が頻発しています。水循環基本法が成立し、基本計画について検討が進められている中、最近の知見を踏まえ水源流域の水質管理のあり方を考えるべく、東京大学大学院工学系研究科附属水環境制御研究センターと国立保健医療科学院生活環境研究部水管理研究領域の主催でワークショップを開催し、発表、討議を行いました。
まず、花木啓祐水環境制御研究センター長からの開会、趣旨説明により水循環基本法および基本計画における水質管理の重要性が指摘されました。その後、同センター古米弘明教授による「水源と流域管理について」において水循環の保全と基本計画に関する歴史的経緯や最近の動向、国立保健医療科学院秋葉道宏統括研究官による「水源域の生物障害－最近の状況－」において水道に関係する異臭味障害等の生物障害の頻発化、神戸市水道局 伊藤裕之水質試験所長による「水道水源の藻類の遷移と水道の対応」において水道の藻類対策の実際と課題、東京大学 春日郁朗講師による「湖沼・河川の水質形成過程を理解するための新たな視点」として微生物ループと有機物質分析の最新知見と今後の方向性、国立保健医療科学院 浅見真理上席主任研究官（同センター客員）から「水源汚染事故と流域管理」の最近の動向と地圏環境テクノロジーとの共同研究紹介があり、今後の行政・実務・研究の連携の必要性に関して発表が行われました。
討議においては、流域管理の事例として、神戸市水道局 伊藤裕之水質試験所長より「羽束川・波豆川流域水質保全協議会の設立経緯や活動紹介」があり、藻類制御の実際的な運用と課題、水循環基本法成立を機とした関係者連携の必要性、流域マネジメントのあり方に関する意見交換、溶存有機物（DOM）解析への期待、モニタリングデータの集積や解析・共有の必要性などについて、講師及び参加者から活発に質問や意見が交わされました。
水源流域の水質管理にご関心のある多くの方々にご参加いただくことができ、関係者連携の必要性が再認識されると共に、関係者間の交流促進の機会になったかと思います。ありがとうございました。
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東京大学大学院工学系研究科附属水環境制御研究センター 事務局宛
〒113-8656 東京都文京区本郷7-3-1
E-mail: sec-recwet@env.t.u-tokyo.ac.jp
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