グループの構成
本研究の最大の特色は、多角的な観点から都市水利用システムを評価する総合的なアプローチにあります。研究ユニットは、1.流域水資源グループ、2.都市雨水管理・利用グループ、3.都市地下水管理・利用グループ、4.水質評価グループ、5.都市水利用デザイングループ、の5つから構成されます。
まず、1.流域水資源グループでは、気候変動によって流域圏の気象が将来どのような影響を受け、表流水や湖沼水の水量・水質がどのように変動するのかを高度に予測し、これらの水資源の利用可能性を評価します。
都市におけるユビキタス型水資源としては、次の2グループにより特に雨水と地下水に特化した研究を展開します。
2.都市雨水管理・利用グループでは、圧倒的に不足している雨水の水質情報を収集すると共に、雨水貯留や地下水涵養などのあり方を議論します。
3.都市地下水管理・利用グループでは、地下水水質の現状や涵養プロセスを明らかにすると共に、ヒ素などの汚染物質に対する革新的処理技術を開発します。
4.水質評価グループでは、1~3のグループが扱う表流水、雨水、地下水に加えて再生水も対象として、水の安全性に関わる「病原微生物の総合リスク」および、水利用上の水質安定性の指標となる「水質変容ポテンシャル」の開発を行い、水利用に有用な新しい水質情報の提示を目指します。
5.都市水利用デザイングループでは、1~4のグループが整理した都市水資源の水量・水質に関するデータを社会に還元することを意識し、環境コスト評価や利用者選好を考慮しながら水利用デザインのあり方を探ります。
これらの5つのグループの成果を結合させることで、「気候変動に適応した調和型都市圏水利用システム」を開発し、社会に発信することを目指します。