下水疫学調査は、感染者から排出されたウイルス等の病原体が下水処理場に集積するという下水道インフラの特性をうまく活用した公衆衛生情報取得手段であり、感染症発生の早期検知と感染動向把握ためのツールとして社会的に期待と注目を集めています。
2024年3月に発足した国際下水疫学研究室では、「下水疫学」という新たな学問分野を開拓するとともに、国内外での下水疫学調査の実装を通して感染症に強い社会の構築に貢献することを目指しています。
人の国際移動が活発化した現代社会においては、COVID-19を含む多くの感染症が海外から持ち込まれている。さらに、気候変動によりデング熱などの熱帯感染症の国内への流入リスクも高まってきている。今後の公衆衛生上の危機に対抗する上で、ウイルスの越境流入の監視は国家安全保障の観点からも極めて重要である。
本研究テーマでは、成田・羽田などの主要国際空港において航空機排水や空港ターミナル下水を採取し、新型コロナウイルス(および変異株)を含む多様なウイルスの検出調査を実施する。下水疫学的アプローチによるウイルス感染症の越境流入の早期検知を実証することを目指す。