降水量の変化は、河川流量をはじめとする表流水の量や質に多大な影響を及ぼします。荒川流域でも、降水量は季節によって変化するのはもちろん、年々その量に変化があります。では、将来的な気候変動に伴って、流域における降水量はどのように変化していくのでしょうか。その予測のため、「気候モデルによる温暖化実験の結果」、「疑似温暖化手法」、「領域気象モデルによる力学的ダウンスケーリング」を用いて検討しました(5つの気候モデル/ C N R M -CM5、GFDL-CM3、MRI-CGCM3、GISS-E2-R、MIROC5による温暖化実験結果を使用し、温暖化シナリオとして、RCP4.5を使用)。その結果、使用する気候モデル(GCM)によって将来の降水量予測は大きく異なりました。しかし、多くの気候モデルで、荒川流域での年間降水量の標準偏差は拡大することが予測され、降水量が極端に多い年、極端に少ない年、というように、年ごとに変動の幅が大きくなることを想定する必要があります。(流域水資源グループ)
環境デザイン学系
准教授
今後は不確実性(ばらつき)を含む予測から、どのように有用な情報を抽出するかを考える必要があります。また、今回はひとつの温暖化シナリオ(温暖化の程度)に基づいた研究でしたが、他のシナリオによる予測結果も活用し、様々な変化の可能性を考慮することや、新たな温暖化予測をフォローしながら研究を続けていくことが欠かせないと考えています。